ウォーレン・バフェットのアップル株売却: 投資の神様が仕掛けた「高値で売る」戦略の真実
2024年第1四半期、投資界に衝撃を与えた出来事が起こりました。ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、アップル株5億1000万株を売却し、同社の保有株を約56%削減したのです。このニュースは、アップル株の驚異的な上昇を経た後での突然の売却ということで、バフェットがアップルに対する楽観論を放棄したのではないかと多くの憶測を呼びました。
しかし、アップルは依然としてバークシャー・ハサウェイの最大の株式保有銘柄であり、そのポートフォリオの41%を占めています。5月の年次総会では、バフェットがアップルを「さらに優れた企業」と称賛していることからも、彼のアップルへの信頼が揺らいでいないことが伺えます。にもかかわらず、大規模な株式売却を決行した背景には、投資家としてのバフェットの鋭い洞察が垣間見えます。
アップル株の売却とバークシャーの現金保有高の増加
この売却の結果、バークシャー・ハサウェイの現金保有高は第1四半期末の1890億ドルから2780億ドルに増加しました。さらに、7月にはバンク・オブ・アメリカの株式も約40億ドル売却し、さらなる資金を確保しています。バンク・オブ・アメリカも、アップル同様にバフェットが安値で購入し、莫大な利益をもたらした投資先でした。
バフェットがこれらの株を売却した理由について、彼は明確な説明をしていません。しかし、市場の過熱や将来の投資機会を見据え、慎重に守勢的なポジションを取った可能性が高いです。これにより、バフェットは今後、新たな魅力的な投資先に向けて多額の現金を用意していると考えられます。
バフェットの「高値で売る」戦略の実証
バフェットのアップル株売却は、まさに「高値で売る」戦略の好例です。彼が購入した時のアップル株価は、非常に割安でPER16倍でしたが、売却時には危険なほど高いPER32倍まで上昇していました。アップル株はパンデミック前と比較して現在の3倍の価格で取引されており、この高値からの調整リスクが高まっています。
興味深いのは、バフェットがアップル株の「最高値」を逃したことです。バークシャーが売却を終えた後、アップル株は過去最高値に達し、その後急落しました。バフェットの売却が、その一因となった可能性が指摘されていますが、これもまた市場の過熱を示す兆候と言えます。
バフェットは過去にも、市場が過度に楽観的になった時期に冷静に行動することで、成功を収めてきました。今回のアップル株売却も、その一環として理解できるでしょう。彼は、2016年に暗い見通しだったアップルに対して大きな賭けを行い、現在ではその利益を確定させるという、理にかなった選択をしているのです。今後もバフェットの動向から目が離せません。
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