ウォーレン・バフェット氏とバークシャー・ハサウェイのアップル株売却
ウォーレン・バフェット氏は、投資の世界でその名を知らない人はいないほどの著名な投資家です。彼の率いるバークシャー・ハサウェイは、1965年に彼が経営を引き継いで以来、年間約19.8%の複利で増加しており、アメリカの代表的な株価指数であるS&P 500を上回るパフォーマンスを見せています。しかし、最近のニュースでは、バフェット氏がバークシャー・ハサウェイのアップル株の保有を減らし続けていることが話題になっています。
バフェット氏のアップル株売却
バークシャー・ハサウェイは、2016年からアップル株の購入を始めました。当初の購入がバフェット氏自身によるものか、それとも彼の弟子たちによるものかは不明ですが、その後数年間で持ち分が大幅に拡大しました。バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおけるアップル株の割合は次のように変動しています。
- 2023年第4四半期:アップル株はポートフォリオの49%を占めました。
- 2024年第1四半期:アップル株はポートフォリオの40%を占めました。
- 2024年第2四半期:アップル株はポートフォリオの30%を占めました。
この変動からも分かるように、バフェット氏はアップル株の保有を徐々に減らしています。実際、CNBCの報道によれば、バークシャー・ハサウェイのアップル株の保有は2023年12月の9億500万株から2024年6月には4億株に減少し、55%減少したとされています。
バフェット氏のアップルに対する見解
バフェット氏は2023年5月に「アップルは我々が所有する他の企業とは違います。たまたまより優れた企業であるというだけです」と述べています。しかし、この発言にもかかわらず、アップル株を売却しているのはなぜでしょうか。
一つの理由として考えられるのは、アップルの株価評価です。ウォール街はアップルが2025年度まで毎年10%の成長を遂げると予想していますが、それに対して現在の評価額である利益の33.5倍は高すぎると考えられます。バフェット氏がここ数四半期でアップル株を積極的に売却しているのは、この高評価が理由かもしれません。
バークシャー・ハサウェイの他の投資戦略
アップル株の売却が進む一方で、バフェット氏はバークシャー・ハサウェイの自社株買いを積極的に行っています。過去3四半期で総額50億ドルを自社株買いに費やし、バークシャーが過小評価されているとのメッセージを市場に送っています。
バークシャー・ハサウェイは、多くの異なる業界の子会社を持つことで、多様性を確保しています。保険、鉄道、エネルギー、公益事業、製造、小売など、さまざまな業界にわたる企業群を所有し、その中核となる保険事業からの現金収入をもとに、他の投資を行っています。この多様性と安定した収益源が、バークシャー・ハサウェイの強みとなっています。
バークシャー・ハサウェイの業績
2024年第2四半期、バークシャー・ハサウェイは収益が1.2%増の937億ドル、営業利益が16%増の116億ドルと、好調な業績を報告しました。特に保険部門の引受業務と債券投資による営業利益が56%増加したことが目立ちます。
しかし、GAAPベースの純利益は16%減少して303億ドルとなりました。この減少は、株式の損益(実現損益と未実現損益の両方)が含まれているためです。6月四半期にバークシャーは280億ドルの未実現損失を記録しましたが、前年同期は240億ドルの未実現利益を計上していました。この差がGAAPベースの利益の減少の原因となっています。
まとめ
ウォーレン・バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイを通じて長年にわたり驚異的な投資成果を上げてきました。最近のアップル株の売却は、その評価が高すぎると判断したためかもしれません。一方で、バークシャー・ハサウェイの自社株買いを続けていることからも、バフェット氏が同社の将来性に自信を持っていることが伺えます。今後も、彼の投資戦略と市場動向に注目が集まることでしょう。
参考
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